多次元セラピー個人セッションのケースをご紹介します
原因がわからない不可解な感情
多次元セラピーにはさまざまな興味深いケースがあります。
退行療法である多次元セラピーでは、
原因がわからない問題であっても、
その起源に戻って探求することが出来ます。
今回のケースでは、起源に退行してみたところ、
そこはその方の前世でした。
許可を頂きましたので、ご紹介させていただきます。
掃除機をかけていると、なぜか怒りが湧いてくる…
Rさんは、二人のお子さんを持つ40代の主婦の方です。
育ち盛りのお子さんとご主人のために、
毎日、たくさんの家事をこなしていらっしゃいますが、
お掃除に関してお悩みがありました。
掃除機をかけていると、馬鹿にされたように感じて、
理由がわからない怒りが湧いてくることです。
掃除機のスイッチをオンにした途端に、
急に嫌なことを思い出したり、むかついてきたり、
どうしてこうなるのだろう…と不思議に思われていました。
幼少期や学生時代などに、
掃除機と怒りが結びつくような嫌な体験をしていたら
このようなことも起こるかもしれませんが、
Rさんには思い当たることが全くありません。
ご自宅の日々のお掃除が、
普通以上にたいへんな作業であるというわけではありませんし、
元々、お掃除が嫌いで、掃除機かけをしたくないということもないそうです。
そこで今回、「掃除機をかけている時に湧いてくる怒り」をテーマとして
多次元セラピーをさせていただくことになりました。
多次元セラピーでは、原因がわからない問題について、その起源に退行し、
そこでどんなことが起こっていたのかを再体験します。
その時の感情や感覚、思考などをリアルに体験すれば、それらを解放して癒し、
その問題に悩まされることがなくなるのです。
身体的な問題からメンタルな問題まで、幅広く対応することが可能であり、
今回のテーマのように、一見関係がないように思われる事物や感情の
背景にある過去の出来事をつきとめて、明確に理解することが出来ます。
潜在意識から最初に現れたイメージは、海辺の風景…
最初に現れたイメージは、海辺の風景。 松林のある日本の浜辺です。
3~4歳くらいの男の子が一人で石をはじいて遊んでいます。
この子には、遊んでくれる友達が一人もありません。
実はみんなからいじめられ、仲間外れにされていたのです。
両親は遠くへ働きに出ているのか、長い間、家に帰って来ておらず、
兄弟も親族もいませんでした。
ある時、いつもは一緒に遊んでくれない子どもたちが、
5~6人、近付いてきて、男の子を遊びに誘います。
彼らは、男の子よりも年上の少年数人と、
同い年くらいの小さい子ども数人です。
その子は驚きながらも嬉しくなり、仲間に加わって少しの間、皆で遊ぶのですが…
何が起こったのかわからないうちに、その子どもたちは、
突然、男の子を捕まえて、一本の松の木に縛り付けてしまいました。
子どもたちは、男の子を残したまま、
どこかへ遊びに行ってしまいます。
「何でこんなことになったのかわからない…
ただ一緒に遊んでいただけなのに…」
男の子はそう思いましたが、
そのうちに誰かが戻ってきてくれるだろうと思い、待っていることにしました。
待ち続ける男の子の気持ち 死ぬ直前の感情
その男の子が縛り付けられている松の木は、断崖の上にありました。
その辺りは人通りがほとんどない場所です。
しかも男の子は海側を向いて縛られていたため、
わずかな数の通行人にも、気付かれることはありませんでした。
男の子は、誰かがきっと助けに来てくれるだろうと思って
静かに待ち続けていたのですが、
気が付くと、助けを求めようとしても、
そうする気力も体力もないほど衰弱していました。
悲しみが湧いてきました。 「どうして誰も助けに来てくれないの?」
縛られているお腹の辺りが痛みます。
そのうちに男の子の悲しみは、憎しみに変わり、
縛った子どもたちを呪ってやるという気持ちになりました。
男の子は、そのまま誰にも発見されることなく、その場所で亡くなりました。
村の人々は、男の子がいないことに気付き、捜索を始めます。
亡くなってから3日ほど経った頃、ようやく男の子を見付けました。
村人たちは男の子を埋葬しますが、
誰がこんなことをしたのかは追及されず、
縛り付けた子どもたちは、いつも通りの毎日を過ごしていました。
実は男の子の父親は、だいぶ前に亡くなっており、
母親は行方不明であったため、
男の子が亡くなっても、家族に知らされ、
見送られることはありませんでした。
どうやら母親は、遠く離れた別の男性の家で
暮らしているらしいということでした。
前世から持ち越されていた思い
この男の子は、Rさんの前世でした。
なぜ掃除機とつながりがあるのかを見ていくと、
男の子がいつもしていた遊びと関連していたことがわかります。
男の子は、いつも一人ぼっちで、石を使う遊びに熱中していました。
石をはじいてぶつけたり、飛ばしたりする遊びの動作と、
掃除機を手にして動かす動作が共通していたため、
掃除機をかけ始めると、この前世での悲惨な出来事がよみがえり、
その時の怒りが込み上げてきたのだと分かりました。
セッションでは、男の子を松の木に縛り付けた子どもたちと和解させ、
この子が一番愛していた祖父と再会させて十分に癒し、解放しました。
その後、Rさんにお聞きしてみたところ、
セッションをしてから、掃除機をかける際の怒りは
全く無くなったということでした。
このように被害者と加害者がはっきりとしている出来事の場合、
恨みや怒りなどの感情、復讐心が後々まで尾を引き、
心情的なわだかまりが解決され、本当の意味で癒しがもたらされることは
困難となることがほとんどです。
このケースの場合は、男の子を松の木に縛り付けて放置した子どもたちに、
現代のいじめのような陰湿な悪意はなく、
むしろふいに思い付いた気まぐれのような行為であったようです。
男の子が死亡して発見された後も、
動揺、罪悪感、後悔の念などはほとんどありませんでした。
また子どもたちが悪事を行ったことを、大人たちや権力によって
暴かれたり責められたりすることもありませんでした。
異常な出来事ではあるけれど、一人ぼっちの男の子の家庭環境などもあって
犯人の追及も事実関係を明らかにすることも不問に付された形となりました。
大人たちは、薄々気付いていながら、
自分たちの子どもに影響が及ぶのを回避するため
事をうやむやにしたかったのかもしれませんし、
そうすることが出来るような時代や環境だったのかもしれません。
強烈な体験から受けた影響を解放する
男の子には、一時は呪う気持ちが湧いていたものの、
死後、魂は光の元へ戻り、復讐を実行に移すことはありませんでした。
たいそう悲惨な出来事ではありましたが、セッションの中で、
男の子と加害者である子どもたちを引き合わせてみると、
彼らは比較的素直に過ちを認め、謝罪をして和解に至ることが出来ました。
理由が思い当たらない感情が在る時、
このケースのように、前世での体験がその起源となっていることがあります。
体験した出来事の中で強烈な印象を残した断片的な要素のみが
身体感覚や感情として残留します。
このケースでは、石を扱う身体感覚と強い怒りの感情が結びついたまま
今生に持ち越され、掃除機をかける際の動作によって、
怒りが湧き起ってきたことになります。