多次元セラピー個人セッションのケースをご紹介します
カルマと憑依
多次元セラピーは、魂や輪廻転生などを含む
トランスパーソナルな退行療法です。
多次元セラピーのセッションでは、前世、カルマ、
憑依などが相互に関連し合い、
深刻な問題やお悩みとなることがあります。
これまでに扱ったセッションケースの中から
「前世の不幸な出来事のカルマによる憑依」のケースを
ご紹介します。
心身の不調に悩まされる
Uさんは、30歳の娘さんを持つ女性です。
Uさんの娘さんは、数年前、病院で治療を受けました。
その際に処方されたお薬が合わなかったのでしょうか、
副作用によって、体調不良が続くようになり、
心身に不快な症状が現れ始めました。
突然、襲ってくる不快感とめまい、頭痛、そして不安感…
そのことがあってから、娘さんは次第に消極的になり、
外出を控えるようになってしまいました。
やりがいをもって取り組んでいたお仕事も、休職の状態が続いており、
日々、鬱々と過ごすばかりです。
人付き合いも億劫になって、何かをしようとしても気力が湧かず、
不安と憂鬱を覚えるのです。
このような状態となる前には、明るく、健やかで、スポーツも得意、
幼いころから、学校でも、ご近所でも、皆から親しまれ、かわいがられる
美しく、聡明な娘さんでした。
仲の良かったお友達は、娘さんのことを心配して、
何とか連絡を取ろうとしますが、
娘さんのほうから心を閉ざし、すっかり疎遠になってしまいました。
娘さんの変わりように胸を痛めたUさんは、
気晴らしのショッピングや旅行に誘ってみたり、
楽しい計画を持ちかけてみたり、何とかして娘さんを元気付けようとして、
懸命に努力を続けてきました。
心身の不調の改善に役立ちそうな健康情報や、
ヒーリング、セラピーなどについても、
多方面からさまざまな情報を集め、娘さんにそれとなく紹介していました。
そんな努力も空しく、娘さんは、ますます気力を失っていくばかり、
母親に申し訳ないという気持ちと、思うように動けないもどかしさから、
Uさんとの会話すら次第に避けるようになってしまったのです。
もう一度、娘さんの笑顔を見たい、一緒に笑いたい…
それがUさんの心からの願いでした。
ある日、突然、娘さんに起こった出来事によって、
Uさんご自身も心労とストレスが重なり、
気持ちが晴れず、体調を崩すようになってしまいました。
娘さんのことは心配だけれど、
まずはご自分を立て直して前に進みたい…という思いから、
セッションルームにお越しになったのです。
「自分が悪い…」という想念はどこからやってきたの…?
個人セッションのインテイク(多次元セラピーの事前カウンセリング)では、
こうしたお話をじっくりとお聴きしていきます。
明らかになってきたのは、Uさんには、
ある思いが常に付きまとっているということでした。
それは「私が悪いのだ…」というものでした。
客観的に振り返りますと、Uさんは、娘さんに起こった出来事に対して、
何の落ち度もありません。
このような出来事が起こる前には、周囲の誰もが認める仲の良い母娘であり、
現在に至るまで、娘さんのことを心から案じて、
できる限りのことをなさってこられました。
それなのに、なぜ「私が悪い…」という思いが在り続けているのか、
ご本人にもよくわからず、不可解に思われていました。
自分が悪いという思いは、何らかの罪悪感があるということです。
理由のわからない罪悪感が、いったいどこからやってくるのか、
探求してみたいというご希望があり、
今回は、それをセッションのテーマとして、
多次元セラピーをさせていただくこととなりました。
過去に起こっていた悲惨な出来事が明らかになっていく…
多次元セラピーが始まり、潜在意識の中から現れたのは、
一人の見知らぬ男性のイメージでした。
帽子とオーバーオールを身に着け、色が黒くて目がぎょろっとしています。
あまり感じが良くない目つきです。
話しかけてみると、彼は、にやりと笑いました。
そして彼は、Uさんに恨みがあると言うのです。
この男性とUさんの間にどのような出来事が起こったのか、
それを探求するために、問題となった出来事へ退行していきました。
そこはヨーロッパの古い街並み、
道路の脇には赤い屋根の小さな家々があります。
猛スピードで走ってきた一台の馬車が、
たまたまそこにいた小さな女の子を轢いてしまいました。
倒れている小さな女の子は、ぐったりと目を閉じ、もはや反応がありません。
父親らしき男性が、女の子のそばに駆け寄り、泣き叫んでいます。
周囲に人々が集まってきます。
女の子は即死でした。
若い父親は、馬車に乗っていた裕福そうな農場主を引きずりおろし、
罵り始めます。
農場主は、
「この馬車は、私が雇った馭者が運転していたのであり、自分が轢いたわけではない」
と言っています。この言葉に逆上した父親は、農場主に殴りかかります。
周囲の人々が止めに入ろうとしますが、
父親の怒りは治まりません。
その後、農場主が雇っていた馭者には相応の罰が下され、
この一件は解決したかに見えました。
ところが、父親は農場主を許そうとせず、ずっと恨み続けます。
父親が、馬車の運転を誤った馭者ではなく、
農場主のほうを恨んだのには、理由がありました。
農場主は羽振りが良く、100人以上もの使用人を使い、
事業は大成功していました。
欲しいものは何でも手に入れ、大きなお屋敷に住んで、
誰もがうらやむぜいたくな暮らしをしています。
それにもかかわらず、欲の深い農場主は、少しも満足していませんでした。
もっとたくさんの収入を得るために、
従業員たちには十分な休養を与えずに働かせていました。
夜も昼も、牛馬のようにこき使われて、
従業員たちは皆、疲れ切っており、
そのことは、町中の人々に知れ渡っていたのです。
馭者が運転を誤って娘を轢いてしまったのは、
十分な睡眠を取ることが許されず、
途方もない疲労がたまっていたからだろう…と父親は考えました。
こんなことになった全ての責任と罪の根本は、
無理な運転をさせた農場主にあるのだ…
そのように断定していました。
実は、農場主は、後々問題が起こらないように、馭者の家族に大金を渡して、
睡眠を取らせず働かせていたことを口止めしていたのです。
今、Uさんの前に立っているオーバーオールの男性がこの時の父親であり、
農場主はUさんの過去生でした。
「お金で済む問題ではないはずだ」と、父親はUさんを睨み付けます。
この父親が、なぜUさんに恨みを向けているのか、
ようやく明らかになりました。
農場主とUさんは、深く反省している気持ちを示して、
父親に心から謝罪し、許しを請いました。
罪悪感や良心の呵責が後の転生に持ち越される… カルマの引力
Uさんは、馬車で女の子を轢いてしまった農場主の過去生において、
こうなってしまった責任は馭者にあると強い態度で開き直っていましたが、
実は、心の奥底に、罪悪感や良心の呵責があったのでしょう。
「本当は自分にも責任がある…」
そのちょっとした罪悪感がカルマを生み、
後の転生へと持ち越されていきます。
そして今、Uさんは、理由がわからないにもかかわらず、
何故か「自分が悪い…」と感じてしまうのです。
父親にたずねてみると、Uさんの娘さんに起こったことは、
彼がしくんだ復讐だと白状しました。
愛娘の命を奪われた父親は、
その原因を作った(農場主であった)Uさんへの恨みを晴らすため、
Uさんの娘さんの人生を破壊してやろうと考えたのです。
多次元セラピーには、前世・過去生の人物が今生の誰であるか、
確かめる方法があります。
恨みを捨てきれなかった父親は、生まれ変わって、
今生、再びUさんと出会いました。
Uさんの娘さんにお薬を処方したドクターが、この父親でした。
付け加えておきますと、このドクターには、
当然のことながら、ご本人が自覚する悪意や恨みなどは
もちろんありません。
故意に体質に合わない薬を処方したわけではありませんし、
Uさんの娘さんと分かったうえで、
悪意を持って何かをしたわけでもありません。
深い恨みによって生じたカルマの引力は、このようにして
この父親(=ドクター)と 農場主(=Uさん)を、再び出会わせるのです。
カルマの引力には、父親の恨みに加えて、
農場主(=Uさん)の罪悪感も大きく関わり、
相互作用を生み出したと考えられます。
父親は、謝罪を受けて過去の恨みを手放し、
十分に癒されて、帰るべきところへ戻っていきました。
Uさんは、理由がわからなかった
「自分が悪い…」という思いから解放されました。
今後、おそらく娘さんの状態も、より良い方向へ向かっていくはずです。
このケースでは、一件、つながりが無いかのように見えたUさんの罪悪感と、
娘さんの不調とが、実は関連していたことが、
探求を続けることによって明らかになりました。
セッションのテーマを選ぶ際に、
Uさんは直感的にこのことに気付かれていたのかもしれません。
このケースのように、思い当たることが何もないのにもかかわらず、
繰り返し浮かんでくる想念や感覚、
あるいは脳裏をよぎるイメージなどがある場合、
それらは今生ではなく、過去生・前世に起源を持つことが少なくありません。
日常生活に支障を来たすほどでなければ、神経質になる必要はありませんが、
何か気になる…という場合には、トランスパーソナルな視点から、
一度探求をしてみることをお勧めしています。
思いも寄らなかった出来事や、
誰かとのカルマ的な関係に気付いて、驚かれるかもしれません。
前世・過去生のカルマによって起こる「憑依」
ご参考までに、娘さんを殺された父親による影響(恨みと復讐)は、
多次元セラピーにおいては、「憑依」と呼ばれるものです。
憑依という言葉は大げさに聞こえるかもしれませんが、
Uさんに属していない何らかのエネルギーが、
Uさんに対して否定的に作用している状態ということになります。
こうした前世・過去生のしがらみによって憑依が起こることは、
稀なケースではありません。
たとえば、前世・過去生で雇用主に虐待されて亡くなった使用人が、
その後の転生で、雇用主だった人物に憑依して苦しめていたり、
味方に裏切られて命を落とした武将が、敵を討つために、
自分を裏切った味方に憑依したりすることがあります。
現在のその方にとっては、映画か物語の中の世界と感じられるでしょうが、
実際にセッションが始まると、フィクションであるとは言い切れない、
どこか他人事ではないような感覚が残ります。
セッションが終わってみると、不可解な出来事が解き明かされ、
不思議と腑に落ちる感覚があるでしょう。
ところが一般的には、日常生活の中で、
前世・過去生の出来事がふいに思い出されるということは、
ほとんどありません。
そのためご自分やご家族に起こっていることの背後に、
どのような事情・カルマが潜んでいるのかは、
知る由もないのです。
心をオープンにして、好奇心をもって探求してみると、
頭で考えてもわからなかった何かが、
その方の潜在意識の中から立ち現れてきます。
潜在意識は、その時、その方にとって必要であり、
癒しと解放に役立つイメージを必ず現し、体験させてくれるのです
何年も続いている厄介な不調や慢性的な症状がある場合、
私たちはそれが在る状態に慣れきってしまい、
問題視することもなくなっていくものです。
しかしながらそれが身体面であれ、メンタルであれ、
どんな問題やお悩みにも、その起源があります。
多次元セラピーの退行療法を使って、潜在意識にアクセスし、
問題の原因や理由を探求することができることを、
思い出していただければと思います。