コントロールできない恐怖
前回、職場の上司が怖くて相談ができない…ということについて
書きました。
そのテーマとも関連するのですが、
怖れ・恐怖感が湧いてくると、コントロールが出来なくなる、
パニックに近い状態となるということがあります。
怖れ…ではあまり経験がないかもしれませんが、
不安でしたら、多くの方に覚えがあるのではないでしょうか?
身近な例で言うと、朝、自宅を出て、駅への道を歩き始めた時、
ストープを消してきたかどうかが不意に気になりだして、
記憶をたどってみます。
たぶん大丈夫…と思い直し、そのまま歩き続けるのですが、
その間に不安がどんどん膨らみ、「大丈夫」が揺らぎ、ついには押しのけられ、
結局引き返して確認をすることになることがあります。
このような場合、確認すると、たいてい何事もなく済むのですが、
まるで虫の知らせか悪い予感が的中する時のように
巨大な不安に飲み込まれ、太刀打ちできなくなってしまうのです。
これはノーマルな例です。
念を入れて確認することに役立つため、問題はないのですが、
では、何も起こっていないのにもかかわらず、
急に不安や恐怖が襲ってきて、どうしようもなくなるとしたら、どうでしょうか?
きっかけがないのに、突然、恐怖を覚え、
しかもその恐怖にとらわれてしまうのは、不自然なことです。
多次元セラピーでは、こうした問題に対して、
何がそうさせているのか、なぜそうなってしまうのかを
多次元的に探求してまいります。
多次元セラピーが、トランスパーソナル退行療法であることのメリットは、
潜在意識の領域を多角的に探索できること、
理屈では説明のつかないエネルギー作用を視野に入れていることです。
この2つの特長を理解していただくために、
一般的なカウンセリングや心理療法では、
どのようなアプローチを採るかを考えてみましょう。
カウンセリングでは、その問題についてお話をお聴きして、
その方がご自分の中で折り合いを付けられるように支援するでしょう。
過去を振り返ってみて、いつ頃からそうなったのかを考えてみるかもしれません。
記憶を頼りに、その頃、何か特別なことが起こっていなかったかを話し合い、
関連性を探っていくかもしれません。
NLPや行動療法では、恐怖が襲ってきたときに、同じ反応が起こらないように
アプローチするかもしれません。
医学の世界では、心の病の診断がついて、お薬を処方されるでしょう。
原因を探ることは、必ずしも必要であったり、
重要であったりするわけではないのですが、
原因が明確になることにはメリットがあります。
その一つは、意識されていないその方の生活の他の領域でも、
何か問題が起こっているとしたら、そのことに気付き、
癒して解放することが出来ることです。
周辺的な問題は、同時に解消されていくでしょう。
もう一つは、次の機会に同じことが起こる可能性に対して、
あらかじめ備えておいたり、手を打っておいたりできることです。
その方のパーソナリティにもよりますが、
お薬などで問題が解決したとしても、
なぜそうなってしまったのかがその後も気になってしまったり、
そんなことになった自分は脆弱だとか普通ではないかも…という思いが
残るかもしれません。
その方なりの答えを見つけることで、解決した手応えを得られ、
すっきりした気分になるでしょう。
セッションでは、毎回、必ず、原因究明をするわけではありません。
しかしながら、多次元セラピーを用いると、深い探求ができ、
その方にとっての真実に触れることが出来るため、
多くのクライアントの方は、探求を求めてお越しになっています。
なぜそうなったのかを知りたい、理解したいという気持ちは、
人間としての自然な欲求です。
不可解であったことが解明され、理解でき、腑に落ちると、
精神的な癒しや安らぎがもたらされるのです。
多次元セラピーで探求のセッションをさせていただいて思うのは、
問題には、必ず原因があり、
それは癒して解放することが可能であるということです。
「何もきっかけがないのにやってくる恐怖」と言う時、
その何もない「きっかけ」とは、具体的には5感でキャッチできたり、
頭で理解できる出来事や体験のことを指しています。
それは、普通に暮らしていて自覚があり、他者も説明が出来るということです。
トランスパーソナルな視点は、それらを越えた次元を見渡し、見通し、
無意識に為されていたことを意識化したり、
エネルギー的に解決したりするのに役立ちます。
多次元セラピーでは、その方に属していない何らかのエネルギー体が
否定的な影響を及ぼしていることを憑依という言葉で定義しています。
こうした憑依やカルマといった概念は、
その方にとってのリアリティにおいて、
問題や、問題の原因を外在化することを助けてくれるでしょう。
物理的な出来事の背景に何があるのかを探っていくことは、
これまでの世界観を広げるきっかけとなるかもしれません。