自分を分析して理解したら… 癒しから変容へ
先日、あるテレビ番組で、一人の女性(Aさんとしましょう)が、
「私の親は、いわゆる毒親だったので、我慢するのは日常のことで、
我慢することでここまで生きてきました」と発言されていました。
その方の職業は、それなりの才能が必要とされるものの、
果たしている役割や成果を正当には評価してもらえないお仕事でした。
名前も顔も、表に出る機会は一切なく、裏方に徹して行うものです。
そうであっても、その方はご自分のお仕事には誇りを持っておられ、
納得もされていたので、それはそれでよいのですが、
別のところで、少し引っかかってしまうことがありました。
Aさんは、実に明晰にご自分について分析され、理解されています。
幼少期の親子関係において、たいへん深刻なトラウマがあったのですが、
「毒親」という言葉をご存じでしょうか?
親が親としての役割を果たしていない、
そればかりではなく、子どもにとって、その言動がむしろ有害であるとさえ言える、
そんな親のことを指して言う言葉です。
幼い子どもの頃は、自分の親が毒親かどうかなどということは、
おそらくわからないでしょう。
何となくおかしい… 時々、理不尽だ… と感じることがあったとしても、
それが何であるか、子どもの理解力ではまだよくわからないのです。
けれども、ある程度の年齢に達すると、
自分の親を客観的に見ることが出来るようになり、
友だちの親とは違っているとか、世の中の親とはかなり異なるようだと
気付き始めます。
思春期から大人になり、人間関係が広がり、
接する情報も格段に増えて、何かの折に、
毒親と呼ばれる親が存在することを知るようになるかもしれません。
人の心に関心を持ち、いろいろな本を読んだり、調べたりする方は、
心理学や社会学、マスメディアなどの情報によって、
自分と親との関係を分析し、Aさんのように認識されていることも少なくありません。
その気付きや分析力、理解力は、素晴らしいものだと思います。
どうしてこうなったのだろう… という不可解さがあると、
それについて考えることが苦しくなり、思考を停止してしまうか、
あるいは徹底的に考え、探求し続けることになるでしょう。
人は、よくわからない状態に居続けることは困難です。
そこで、いろいろと考えを巡らし、推理したり分析したりして、
一つの結論に到達すると、現状に変化はないとしても、
心は取りあえず落ち着くものです。
Aさんのように、親子関係に問題があって今、こうなっているのだと
分析し、理解している状態で生活している方は、
おそらく数多くいらっしゃることでしょう。
それが自分の生きる方法、ストラテジー、処世術…と認識しながら
そのやり方、生き方を続けていかれるのでしょう。
Aさんは、過酷な状況の中、本当によく頑張って、生き延びてこられたと思います。
心からエールを贈りたいと思います。
しかしながら、ここまで明晰に分析をされ、理解を深めてこられたAさんであれば、
その素晴らしい資質と適応力、洞察力、生命エネルギーをもって、
あともう一歩、前に進むことがあってもよいのでは…と、私は思うのです。
それは、「我慢する」「自分が認めてもらえないことを受け入れる」現状から、
さらに成長、進化していくこと。
勇気と決意をもって「我慢しない人生」「正当に認めてもらえる人生」を望み、
実現することです。
セッションルームにお越しになる方は、
現状の認識から、望む方向への変容を期待されて、
カウンセリング、コーチング、多次元セラピー、ヒプノセラピーなどの
個人セッションに来てくださっています。
一方、そうではない方々、
すなわち自己分析をされていて、そこにとどまっておられる方々は、
変容など在り得ない…と思われているのでしょうか?
もしかすると、変容ということを、
想像してみる機会が無かっただけなのかもしれません。
人生は、こうしたいと望み、変えていくことが出来るものです。
ご自分の心が癒され、変わっていくと、人生は大きく変容し、
人間関係も、お仕事も、趣味も、住む場所も、体験する出来事も、
それに伴って変化する可能性がひらかれていきます。
毒親と共に過ごす間に傷付いてしまった心を癒すことは、
変容することにつながっていくのです。
頭でわかって、納得し、気持ちが落ち着いたら、
どうかそこで止めてしまわないで下さい。
勿体無いことです。
そこから本当のご自分らしさを取り戻され、
本当に生きる甲斐のある人生の可能性が、
実現に向かってひらかれていきます。
そのための方法には、さまざまな種類があり、
その方に合うアプローチを選んでお手伝いすることが出来ます。
Aさんの場合で言えば、ご自分を癒すことで、
我慢しない自分、正当に認められる自分になるところまで、
さらに進んでいくことが可能なのだということを、
多くの方々にも、ぜひ知っていただければと思います。