新しい始まりと、過去を振り返ることの癒し2
過去との付き合い方は、なかなか難しいものです。
過去の出来事の中のどこに着目しているのか、
どのあたりに引っかかってしまうのか、
なぜいつまでも引きずってしまうのか、
その答えがわからないこともあるでしょう。
答えを見つけようとすると、
なおさら辛くなっていくこともあるかもしれません。
過去の未完了の出来事を、完了に向かわせようとする衝動や思いは、
どんな方にも存在していると言われます。
私たち人間は、未完了を、未完了のままにしておきたくないと
どこかで選択をしているのです。
不快な過去の出来事を忘れようとするのは困難なことであり、
むしろアプローチすることで癒しに向かっていくのは、
こうした理由によるのかもしれません。
そのように考えてみると、
退行療法である多次元セラピーのメリットにも気付くことが出来ます。
たとえば、前世・過去生のトラウマ的な出来事は、
今生、類似した家庭環境や人間関係を生み出して、
ある一つのテーマを意識に上らせていく…
そんなふうに考えてみて下さい。
意識せずにはいられないほど明確に、パワフルに、
意識を引き付集中させることになります。
そのことに気付いているのならば、
全体に覆いをかけて隠し、無かったことにしてしまうよりも、
思い切って、その起源へと時間を遡っていくほうが、
癒しと変容につながるのです。
問題の起源へと退行し、感情、精神、身体のあらゆるレベルで
一体何が起こっていたのかを探求するプロセスは、
過去との付き合い方としては、
進化を遂げた新しいアプローチになり得るでしょう。
過去に意識を向けるのは、ポジティブではない…
あるいは問題を見つめるのではなく解決策を見つけたほうが良い…
こうした考え方にも、一理あると思います。
しかしながら、私たちは、過去を意識から締め出してしまっても、
その過去が癒されていない限り、そこから否定的な影響を受け続けているのです。
過去を癒すことは、現在を癒し、未来を変えていくことです。
また「過去」は、現在から振り返った過去として存在しているため、
癒された現在は、既に過去からの否定的な印象を伝えてこなくなるでしょう。
なぜかわからないけれど、心が重く、生き辛い時、
なぜか感情をコントロール出来ず、破壊的な行動をとってしまう時、
痛みや苦悩に気付くように、その方の自己治癒力が
動き始めていると捉えることができます。
私たちは、どれほど苦しい時であっても、
何とか自分を癒し、よりよい現在と未来を求める方向に進んでいるのです。